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俺節 第二部【書き起こし⑬】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑬



コージが『俺節』を歌った翌日、

みれん横丁では

新聞にコージの名前が載ってないか、

何部も新聞を拾ってきては

住人達が確かめていた。

が、前座の歌が

取り上げられているはずもなかった。

コージの歌が話題になっていないのは

「おかしい」

「載ってもよくないか?」

みれん横丁では大騒ぎだ。

それはコージが

横丁の住人である証でもあった。



だからいいんだちゅーの、

お前

だども



コージとオキナワが話しながら

帰ってきた。

手には新聞。。。

載っていないか、

二人も見ていたのだが

住人総出の歓迎に

オキナワが

”新聞のことは気にするな”とばかりに

目で合図すると

コージも頷き、

『みれん横丁のテーマ』が

流れる空に向け

新聞を高く放り投げた

ーーーーーーーーーー(終)






明るい表情の、

未来への希望が感じられる

終わり方だった。

”今回の舞台は

前向きな気持ちで帰れる”

そう思ったよ(笑)



初日から大千穐楽までの間に

何度か観劇する機会があり

設定の変化を感じた。

小道具というかテレサの靴も変わり、

アドリブ含め

『俺節』を一つの芝居として

完成を目指す舞台を

見ることができた。



私が観劇しない日でも

友人が入っていれば

様子を聴くことができたのも

脳内再生するには

大いにありがたいことだった


「マイクトラブルで生声だった」

という噂の流れた日も

「ちゃんとマイクは使っていた、

場所によって聞こえ方が違ったの」と

当日入っていた友人の言葉を信じた。


「肩に湿布薬貼ってたって」

と言われた日は

私が1階前方で見ていた日。

「マイクコードを

がっちり貼り付けていた」のを

前列ながら双眼鏡で見ていたので(爆)

肩湿布説を一蹴した



そんなふうに

自分の目で見たことを脳内に

”名前を付けて保存”




カテコで

『みれん横丁のテーマ』を

歌ったこと、

大千穐楽のことも

大事に胸に収めて

これからも

少しずつ少しずつ

味わっていこうと思います

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俺節 第二部【書き起こし⑫】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑫



舞台中央、マイクの前にコージ。

舞台上手、階上にテレサ。

二人は久しぶりに顔を合わせた



テレサぁ

私からもお願いです、

もう一度歌わせてあげてください

ちょっと静かにしれけろ。

まだ日本にいてはったんだか!?

橋本:そう。でも強制送還で

  これから成田出発

久しぶりにコージの歌、聞いたら

良くなかったね。

ええ?

さっきの歌、初めて聞く歌で

歌詞の意味が

知らないところもあって。

でも前は分からなくても

気持ちだけは伝わったよぉ。

コージ、

頭の中でいっつも歌われてきた

コージの歌は

こんなんじゃなかったよぉ

頭ん中で歌いあげていた

マリアン:いつもいつもいつも

  いつもいつもいつもだってそう!

今、何が足りないんだろうって

思ったことがあって。

うまく言えないけど

客:じゃ、黙ってろよ

コージ!

コージにはコージのことだけを

頑張ってほしくて。

でしょ!?

それで私は私のことを頑張るって

思って、でもじゃあ

私って何?って思ったりしてて。

それで今

客:いい加減にしなさいよ



待ちきれない客が騒ぎ出した。

するとマリアン姐さんが

ステージ衣装になって

騒ぐ客を威嚇して沈めた。

オキナワもギターをかき鳴らす



テレサ、全部言えよ

上手く言えないよ

上手く言えなくていいから。

コージ、お前もなんか言え



天候不安だったが会場は

とうとう雷雨となった。

その時突然の歌声がした



白樺 青空 南風

テレサ渾身の歌声だ、

アカペラの、

すごい迫力の歌声!

ああ、北国のはぁ は はぁぁぁ

後はコージに向けて

手を指し伸ばして

あーー、と叫ぶばかり



あーーーーーーー

あーーーーーーー

あーーー

あーーー



他に言葉は無く、

叫ぶ声を呼応させていたのが

最後には一緒に叫んでいた

客:何これ?なんなの?



それ、それ。

さっきの歌、もう一度!

さん、はい!

今でも好きさ 死ぬほどに

先ほどとはうって変わって

声に力も気持ちもある。

太く、

ビブラートの効いた歌声は

演歌の歌い方ではないかもだけど

とても胸を打つ歌声だった



わかった、ほんとにわかった。

さっきの歌に足りなかったもの、

たとえば、それは私。

私です。

コージは私とコージでコージだから、

だから私が足りないと

コージの歌じゃない。

私も私とコージで私だから

コージがいないと私じゃない。

ちょっと待て。それって

オキナワ…

あああ



コージはズボンのポケットから

オキナワが自分の背に

置いていった紙を

取り出して見た



この歌、

テレサと一緒に書いたのか?

違うよ。俺一人で書いた

何?

んだな。

オキナワ!ギター!!

ああ、一発かましてやろうぜ

一人で背負わせてくれべしゃ



二人で歌うつもりのオキナワに対して

コージは一人で歌うという。

自分の蒔いた種だからか…

コージの気持ちが分かったのか、

オキナワは自分のギターを手渡した



安物だ。濡らしてかまわないぜ

客:お前ら、いつまでやってんだよ



そんな言葉にも雷雨にも負けない。

改めまして、海驢耕治です。

もう1曲、歌わせてけれ

有無を言わさない声だった



『俺節』

ひとりで生きていけるのと

2017-09-04T04:30:40.JPG

俺の俺節

入管:すいませーん、時間です



降りしきる雨の中、

テレサは連れられて行った。

笑顔、投げキス…

去っていくときの表情は

その日によって違っていた。

テレサがいなくなっても

コージは歌うのを止めなかった



おまあ えぇぶぅ しぃ



渾身の歌声に

拍手が鳴りやまない

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俺節 第二部【書き起こし⑪】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑪



コージは一人で

みれん横丁で泣いていた。

そこに戌亥が突然現れた



戌亥さん、なんだべか?

戌亥:仕事だぞ

でもデビューは

戌亥:デビューなんて出来ねえよ

なら

戌亥:行代とお前の

  お披露目ライブの場を

  確保してたんだよ、

  例の引っ越しの歌でよ

すいませんでした

戌亥:デビューは無くなっちまったが

  穴をあけるわけにはいかねえ。

  うちの信用にかかわるからな。

そんなこと言われても歌えねえです

戌亥:コージよ、

  俺が必死で

  頭下げて取ってきた枠だぞ。

  こちらの必死に対して

  せめてもの穴埋めを

  すべきなんじゃねえのか

それはそっだども

戌亥:逃げるなよ



戌亥が言い置いて帰った後も

コージは座り込んだまま、

なんの気力も出ないようだった



テレサぁ、会いてえよ

心の叫びが

切ない声になって

口から出ていた



テレサが強制送還される日が

コージの仕事の日。

プラネットギャラクティカの前座で

歌うのはカラオケテープの1曲目。

「帰れコール」の中、

出てきたコージには

物が飛んでくる始末だ。

それでもコージは

マイクの前に立った。



海驢こんずぃです。

すぐ終わりますから。

ではカラオケテープの

1曲目に入っていた歌です。

『星影のワルツ』


別れることはつらいけど

気持ちここにあらずな歌は

聞いていても

心に響いてこない…

響いてこないから客は聞かない…

尻すぼみになっていくコージに

こっそり客席にいたオキナワが

たまらず声をあげた



おい、ちゃんと聞けよ!

コージ、歌え!ほら



なんとか歌い終えたコージは

どうもすいませんでした

そう言って頭を下げた、が

待て、もう一回歌え。

あいつ、もっといい歌、

歌えるの、知ってるからさ

オキナワ、もういいから

あの歌、歌え。

頼む、あの歌、

みんなに聞かせてやれ

堪忍してけろ



そこにテレサが駆け付けた。

飛行機までの時間、

コージに会いに来るのが

許されたのだ






心ここにあらずの『星影のワルツ』は

ほんとに胸に響いてこない。

熱く迫ってくる歌声と

そうでない声…

一連の劇の中での歌い分けに

ただただ感心するばかりだった

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俺節 第二部【書き起こし⑩】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑩



みれん横丁に戻ったコージの元に

北野がやって来た



北:実はな、ちょっと見てもらいたいものが

  あるんだ。

  おい、大橋!

住:巨泉か?



大橋巨泉…私は分かります。

これ、後々にも続くボケなので

分かる年代でよかった!と思ったよ(笑)



明らかにコージを見ながら


北:曲も詞もオキナワが書いた。

  もらってほしいやつがいるんだが

ええ?

北:ほら

いや、おら、受取れねべさ。

おら…いろいろあって、その、

こういうのは今いただいちゃ

北:どういう事情があるが知らねえがな。

  さあ、いっぺん見てやってくれ

だども、おら



渋っているところに

ギターをかき鳴らしながら

オキナワがやって来た



なに、もったいぶってんだよぉ!?

かっこつけずにさっさと受け取れ!

この田舎もん

オキナワ…

よっ!噂じゃデビューが

無くなったらしいじゃねえか

耳がはええな

テレサは?

故郷(くに)に戻ったよ

そう

うん

なら諸々、ちょうどいいわけだ

へ?

お前がなーんもかんもよぉ、

夢も希望も女もプライドも

なーんも無くなったら

俺とちょうどよくなると思ってたよ

北:ほらよ



北野がオキナワを促す。

コージに曲を見せるのだ



気軽な気持ちで見るなよ。

俺の想い、全部乗せたからな

じゃあやっぱり見ねえ

住:ええ?

そんな想い、背負えねえよ

いや、ちょっとくらい見ろよ

ちょっとも見ねえ

イントロだけでも見ろよ

勘弁してけろ



オキナワが見せようとするのから

コージは逃げ回る



帰ってけれ!

ここは元々、俺の横丁だよ

おらぁ、よけいなもの捨てて

自分だけんなって…

なのに自分のことだけでも

重荷に感じてるんだ。

今さら新しいものを

背負いこむことなんて

どうした?

おっかねえんだ



聞く耳を持たないコージに

オキナワは自分の想いが

思うように伝わらなくて

コージに詰め寄っていった



え?

オキナワが突然、

コージに殴りかかった

情けねえこと、言ってんじゃねえよ

おっかねえんだって

そう言いながら

コージもオキナワに殴りかかる

そういう顔するときのほうが

好きだぜ

見ねえからな

見ろよ

いやって

見ろ、こら

自分で歌えばいいべしゃ

俺じゃダメなんだよ。

どんだけ思いを込めて書いた曲も

俺一人じゃ客の心に届かない。

俺はなあ、

誰かの助けを借りないと

自分の想いを伝えられないんだ。

なあ、

北野のおっさんも言ってたろ!?

歌は

自分自身でなければならないっ!

それを否定されたら

自分の全てが否定されるような、

そんな歌を歌え!って。

北:そんなことは言ってない

住:言ったよ

住:言ってましたよ

北:じゃあ、言った!

これが伝わらなかったら

自分の全てが否定されるような、

そんな歌を書いた。

なのに

歌う前から否定しないでくれよ



ここまで言われても

コージは首を縦に振らない。

ひれ伏して頑なになっている



堪忍してけろ

こっちはもう吐いたゲロだ。

今さら飲み込めねえからな。

これは置いていく



伏しているコージの背に

歌詞を書いた紙を乗せ

オキナワは立ち去っていった



住:どうすんだよ?コージ

北:オキナワに言われたよ。

  俺とお前はよく似てるって。

へ?

大:奇遇だな。俺もコージと俺は

  同じだと言ったことがある

北:おお、そうか。

  それじゃ大丈夫だな。

  どっちに転んでも

  歌は捨てない。存分に悩め。

  はー、なんだか

  急に腹減ったな。

  超美味い馬、

  食わせる店があるんだ。

  行くか?

  動物愛護協会から苦情が来るほど

  食うぞ






大橋巨泉が

馬主でもあったことに掛けての

このギャグは私のお気に入り。

原作の時代に

実際に活躍していた人と

そのエピソードが

台詞に盛り込まれているので

お芝居がちゃんと

時代を映していて

リアリティが増す





オキナワの作った歌を

歌う、歌わない。。。

オキナワの迫力ある声と想いに対し、

言葉は多くないけど

簡単には気持ちを変えないコージ。

頑固者だ

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俺節 第二部【書き起こし⓽】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⓽



テレサは入管に足止めのまま。

取り調べ態度がいいので

一つだけ要望を聞いてもらえた



演歌を聞きたい

テレサが口ずさんだのは

『北国の春』

歌詞の意味を知らない時から

好きでした。

この歌、だって

歌詞とかメロディーとかじゃなく、

気持ちが飛んできたんです。

私、

あの人が歌ってる時の気持ちを

好きになったんです。

男1:あの人?

男2:千昌夫だろ

気持ちは私の気持ちでした。

でもどうして私の気持ちが

あの人の中から

出てきたんでしょうか?

男2:千昌夫の連絡先、

  分かるか?



テレサの望むことを

かなえてあげたい、

そう思わせるものが

テレサにあるのが

よく分かる場面でした



そして、

こんなシリアスな場面にも

千昌夫で小ボケ…

好きです(笑)






♪好きだとお互いに

言い出せないまま♪

みれん横丁に住人の声が響く。

歌声は物悲しくて、

歌詞にも場面にもよく合っていて

泣きそうになる



住人:あれ?大野の旦那じゃないか?

大:ちょっとの間に

  ずいぶんさびれたなあ

住:何言ってんだよ。

  前からさびれてたよ

大:いやあ、

  賑やかだった気がしてたけどなあ

住:ま、人は減ったな

住:こんなところにも

  地上げ屋が来てよお。

  立ち退け立ち退けで

  このざまですよ

大:そうか、そいじゃ

住:用があるんじゃないのか?

大:あ?あああ

住:旦那は旦那で

  景気悪そうな顔、

  してるぞ

大:仕事、紹介してくれねえか?

住:参ったなあ。

  旦那がそんな言葉、

  吐く日が来るとはなぁ

住:しかも同じタイミングでなあ

大:カラオケマシンには

  適いませんわ。

  え?同じタイミング?

住:さっき、

  コージも帰ってきたから

大:コージがいるのか?

いるよおー



舞台下手でコージは

ゴミの山に埋もれていた。

手足を伸ばしてごみをはねのけ

むくっと顔を出し、

よろけながら立ち上がった



大:なんだ?お前

デビュー、無くなりますた。

大:え?なんでだよ

住:スポンサーの社長を

  殴ったってさ

住:そういうやつには

  見えなかったけどな

もう終わりです。

デビューも無く、

テレサもオキナワもいなくなった。

残ったのは冴えない仲間と

落ちぶれた師匠だけですよ。

大:失礼なこと、言うな。

僕の人生、終わりです。

住:ほら、旦那。

  なんか言ってやれよ

大:めんどくせえなあ。

  そんな簡単に

  人生終わってたまるかよ

住:そうだそうだ、

  そういうことだよ

大:パッと終われりゃ楽だけどなあ。

  人生ってのは

  じわじわと枯れていくから

  やりきれねえんだよ

住:やなこと、言うなよ

十分歌いました、で、

届かなかったんです。

力不足です。

意外とさっぱりとした気分です

大:お前、そんなに歌、

  歌ったっけか?

一緒に散々流しで回ったでしょ!?

実はコンテストも

けっこう受けてました。

それに

大:で!?そこでお前は

  本当に歌を歌っていたのか?

そりゃ歌ってましたよ。

知ってるでしょ!?

大:コージ、俺は流しの端くれとして

  いつでもリクエストに

  応えられるように

  レパートリーだけは何千曲もある。

  だけどそれって歌か?

違うならなんなんですか?

大:たぶん、楽譜だな。

  俺の頭の中にあるだけだったら

  歌じゃなくて楽譜だ。

  俺の口から出て初めて

  それは歌になる、

  いや、音になる。

はあ?

大:まだ歌じゃない、音なんだ。

  メロディーだ。

  お前の耳に届く、

  まだ歌ではない。

  お前の心に届く、惜しい、

  まだ歌じゃない。

  いいか、お前が日々の暮らしの

  あれこれに打ちのめされて

  歯を食いしばっているような場面で

  お前の頭の中で

  いつかの俺が発した詞とメロディが

  鳴り響いたなら

  その時、初めてそれは

  歌と呼ばれるものになる。

  俺はそう思ってる。

  だからな、コージ、

  自分の歌が果たしてほんとに

  歌だったかなんて

  すぐには分からねえんだ。

  それは聞いた何十年もあとに

  やってくるかも知れねえんだ。

  十分歌ったなんて

  簡単に口にするな

だども…

誰に何をどう歌ったらいいのか、

もう分かんねえべしよ

大:なんだ?



人の気配に見上げると

階段上から

北野がやってくるところだった



北:そんなコージくんに

  とっておきの歌があります。



北野と大野は

「だいちゃん」「へーちゃん」と呼び合う、

かつての歌のライバルだった






北野と大野が揃い、

オキナワもやって来た。

場所はみれん横丁。

一気に気持ちが引き締まり

いよいよ終盤なんだと思うと

聞き漏らすまい、見逃すまいと

私は

一心に舞台を見つめていた

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俺節 第二部【書き起こし⑧】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑧



北野家の座敷牢では

オキナワが長柄の箒を

ギターに見立てて

歌を口ずさんでいた。

俺節をラララで歌っている!



そこに北野がやって来た



北:いい曲だ



1人前の作曲家になったら

座敷牢から出してやると言う



北:ギターは好きか?

は?

北:箒を弾いてしまうくらい、

  ギターは好きか?と訊いてるんだ



答えられないオキナワに

畳み掛けるように北野が言う



北:もう一月か。

  何もすることのない座敷牢の中で。 

  でも何をしてもいい座敷牢の中で

  お前がしたことは

  歌を歌うことだったというわけだな。 

  自分がそういう人間だった

  ということを自覚しろ!

ヒマ過ぎたんだよ

北:お前は歌を作る人間だ。

  恐喝犯じゃない。

それを言うために

何日も監禁したのか?

どういうおせっかいだよ!?



北:北野波平はきさまのような

  負け犬を見捨てない。 

  なぜなら

  きさまのような人間のために

  演歌はある

はあ?

北:きさまを見捨てたら

  この俺が演歌を歌う資格がない

  って思ったんだ。

  オキナワ、俺はなあ、

  うれしいんだよ。

  お前が歌を、なんちゅーか



気持ちを

上手く言葉で表現できない北野は

座敷牢を壊す力を振り絞って



♪人生はワンツーパンチ、

汗かきべそかき歩こうよ♪



時に音が外れながらも

歌うような、話しかけるような

北野の熱い歌声は胸に沁みる、

心に響いてくる



とっつぁん、

俺、おっさんみたいなやつ、

もう一人、知ってるよ。

おもしれえやつなんだよ、そいつも

北:そいつの話も聞きてえがな。

  まずは歌を書け。



オキナワも感情を爆発させ

生き返ったようになった



北:オキナワ、かっこいいぞ。

  まるで俺ようだぁ






このシーンのセットは

座敷牢のみ。

北野とオキナワの

表情と言葉だけで芝居が続く。


北野を演じる西岡さんの、

なんと表現したらいいのか、

とにかく演技のすごさよ!



カゴツルベの時、

ヤスはことあるごとに

「西岡さんに教わった」を連発。

舞台初心者のヤスに

きちんと丁寧に

演技というものを教えてくれた方。

ヤスが心から感謝して

慕っていた。

その方とまた共演できたのは

見ていて感慨深かったし、

西岡さんが現役の演技巧者なのも

またいい勉強になっただろうなと思うと

このシーンの見事さは

忘れられない。




そして相対する福士さん。

これまた見事で。

声の抑揚やセリフの間が素晴らしかった。



もしこれがヤスだったら、

西岡さんの芝居に

”立ち向かっていく”のは想像できるが

”相対する芝居”になったか…

見てみたかった気もする

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俺節 第二部【書き起こし⑦】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑦



コージは

戌亥、行代と一緒に

デビューで世話になる社長の家での

宴席に招かれていた。



社長は親の代から続く引っ越し業を

自分の才覚で大きくした人。

苦労話を延々と聞くのも

デビューのためなら仕方ない…

行代贔屓にも我慢できた。

お酌したとき、突然殴られたことも

リアクション勉強不足と堪えた。

デビュー曲を

「カブトムシの着ぐるみを着て歌え!」

という無茶な注文も


何でもやらせていただきます


元気な声で返事した。



だが、メインは

「行代のヌード写真集」

そう聞くと



何言ってるんだべ!?あんた

黙っていられなくなった。

コージの、心からの叫びなことは

津軽弁からも分かる



ほんとにいいんですか?

この間「本気でやる」って

言ったばっかりじゃないですか!?

こんな男のために脱ぐのが

行代さんの行く道ですか?



この言葉が社長の怒りを買い、

従業員につるし上げられてしまった。

がそれを振りほどき、

戌亥を指さして言う。



だいたい、

あんたが止める話じゃないですか?



コージは

行代と戌亥の関係に気づいていた



惚れた女でしょ!?

行代さんが「やる!」って言っても

あんたが止めるのが筋でしょ!?



行代に向かっては

それがやりたいことなら

何にも言いません。

それが5歳の頃から

こたつの上で見た夢なら

邪魔しねえべ。

だども



行:じゃあ、はっきり言うけど

 あんな歌、売れないよ

なら、

「次の曲、頑張りましょう」で

いいじゃないですか?

なんで脱ぐんですか?

流行りすたりの話をしてねえすよ。

惚れた腫れたの話ですっ!

どうなんですか?



よほど腹に据えかねるようで、

大きく手を動かしながら

強い口調ではっきり言い切る姿は

見たことのない姿だった



それに対して戌亥は

好きな女の夢の時間が続くように

魔法をかけ続けようと

必死になってる、と。



なんの話ですか?

行:きれいにお化粧してもらって。

  キラキラした服、着て。

  満員の客席でちやほやされて。  

  魔法の時間でしょ!?

  田舎の女の子が

  そうして魔法を掛けられて

  二十数年。

  時計の針が12時回っても

  まだ輝いてるためにはさぁ、

  ヘアの一つも

  出さなきゃいけないわけ!



行代に現実を叫ばれても

コージは簡単に納得できない



本当に魔法なら

そんな必要、ないでしょ!?

戌亥:じゃあ、呪いだな

呪い?

行:そうね、

  「幾つんなっても

  スポットライト浴びたい」

  っていう、

  そんな呪いにかかっちゃったの

戌亥:夢見る呪いだよ。

  こっちは呪われる覚悟でいるんだよ。

  着ぐるみ一つで

  奥歯噛み締めてるようなやつに

  邪魔されたくねえんだよ



行代と戌亥の語る現実に

コージは何も言い返せず、

社長の怒りも買ったまま。



行:あんたさぁ、踏み台にすら

  なれないんだね



心の行き場を失くし、

何をどう考えたらいいのか…

コージは

荒れ狂ったように

やみくもに暴れまわったのだった

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俺節 第二部【書き起こし⑥】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑥



テレサが入管に連れていかれてから

コージは変わった



上手に2階建てがあり、

そこはコージの歌のレッスン場だ。

ナホ先生が弾く、

前シーンのアウトロを

コージが歌っていた設定で幕が開いた。




ナホ:ものすんごいよかったよ。

  ナホちん、もうぐうの音も出ません

行代:パー



クスッとくる小ボケが聞き逃せない(笑)



ナ:今の、サビのところだけ

  もうちょっとやって

引っ越しをするなら教えてよ


アカペラで少しだけ歌うんだけど

ビブラートがとっても良くて

惚れ惚れする声です♡



ナ:ああ、いい!まる、まる、白鶴~

まる!


白鶴の酒のパッケージが「まる」なので(笑)

ここは「おじゃる丸」とかもありました



ナ:最近、どんどん良くなってるよ

そうかな?それならいいけどさぁ

ナ:あら、訛りもすっかり消えちゃって

行:ねえ?歌い方も少し変えた?

おっ、分かっちゃった?

行:私は前のほうが好みだったけど

  なんかあったの?

より多くの人に伝えるためには

訛りなんてよけいなものですからね。

ナ:すっごいよねぇコージくん。

  一生懸命変わったんだから。  

  ねえ見て!これ、麻よ、麻!

  ヘップ!これ着て見せたって

はい


壁に掛けていた麻のスーツの上着を

コージは軽やかに羽織ってみせた



ナ:こんなの着るようなっちゃって。

  すっかり東京人よ。

  オメガトライブかと思った


ふふふ、オメガトライブ分かります、私。

解説無しでわかる年齢でよかった(笑)



行:♪前の背広はどうしたの?♪

行代さんもちゃんと練習してくださいよ。

行:頭痛いの、二日酔い



そこに社長の戌亥がやってきた



社長、行代さんが

全然練習、してくれないんです。

戌亥:練習が必要な歌じゃねえだろ



そう言うと

「出前を取ろう」と奥に引っ込んでいった



行:ねえ、どんなデビュー、

  想像してきた?

へ?

行:こんなんでいいの?

デビューはデビューです!

良いも悪いもないです。

ナ:やっぱりなんかあった?

なんつーか、背負うものが無くなって

身軽になった

ナ:それ、最近女と別れた男が

  言いがちな言葉だね

はっはっは、いやいやそんな

ナ:いいの、いいの。それでいいの。  

  そっちのほうがいいの

とにかく今は、

自分自分て集中して頑張ろうって

行:でもあんた、踏み台だって、私の。

えっ?

行:1曲当たったらコンビ解散。

  そういう算段だよ、戌亥は。

踏んづけられるのはいつものことだべ。

それでも行く道、

行くしかねえ!って気持ちです



東京人になろうとしても

心の底にあるプライドは

上京したころと変わりはなかった



行代も5歳の頃から

ずーっとアイドルの自分を

夢に描いたまま、

夢を諦めきれずにいるのだった



俺、歌ってる時の行代さんは

好きです。

パアーっと光ってて



歌ってる時「は」と言ったことを

行代に指摘され、

弁明しようと焦ると

津軽弁になってしまって

コージはしどろもどろ



津軽弁を直そうと懸命なコージ、

歌のレッスンに励むコージ、

そうやって何事も頑張るコージを

目の前にして

行代も本気を出して頑張る気持ちに

スイッチが入った






その頃、

オキナワは

北野家の座敷牢にいた。

北野からは何のお咎めもなければ

指示もない。

渡されたのは長柄の箒1本だけ。



テレサは

入管で取り調べを受けていた。



それぞれがそれぞれの場所で生きている

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俺節 第二部【書き起こし⑤】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし⑤



一夜明け、

人の話し声でコージは目覚めた。

ランニングシャツとトランクス、

黒の五本指靴下姿だ。



へ?何ですか?

見覚えのない制服姿の男が二人、

室内にいた

なんだ?おめえたち

男:テレサさんだっけ?

  出入国法違反で

        強制送還だから




出かけていたテレサが

戻ってきたのを見て

コージが大声で言う



へ?あっ!?テレサ、逃げろ

私が呼んだの

へ?

自分で呼んだ



そう言うと買ってきたものを

取り出し始めた



これ、お米と缶詰と

レトルトカレー、

買ってきたから

分かんねえよ。何それ?

ここにいても

コージに迷惑かけるだけだから

何が迷惑よ?

どんな迷惑がかかるのよ?



むせび泣くコージに対して

テレサは毅然としている



行きましょ

男たちを促して出ていこうとする

迷惑だっていいよ。

テレサのいいも悪いも

全部背負うから

それがダメなの。

コージが私のために

何かするところ、

見たくないの

そんなあ

自分のためだけに生きて



出ていく間際、

テレサはネックレスを取ると

コージの手に握らせキスをした



ありがとう。

昨日のことは

いい思い出になったね。

ううう、テレサぁ



立ち去ったテレサを追い、

名前を呼びながら部屋を出たが

すぐに押し戻された



コージ!落ち着いて!

落ち着けねえべさ

もしも、

もしもこれからコージが

私を思い出してくれる時があるなら

その時はこの顔で思い出して!

悲しい時の顔を忘れてほしいの。



テレサは

呆然として泣くコージの

額にキスをし、部屋を出た。

が思い出したように戻り

壁を叩いて自分に気づかせると

一言、



売れてね!

コージ!

立派な歌手になってけろ

そうして本当に去っていった

テレサ

追いかけたが男によって

部屋に戻された



うわぁぁぁ

叫び声とも泣き声とも

つかない声をあげ

部屋の中を転げまわる…






♪『引っ越しをするなら教えてよ』


イントロの間も

悔しさ、悲しさがにじみ出ている。

仰向けになったまま、

左右に体をよじり、足で床を蹴る。



くすみかけたこの部屋で

テレサが握らせたネックレスを

掲げ見ている。


この部屋での日々を

思い出しているのかなぁ



過ごすときは終わり

両手で握りしめたネックレスを

額に当てる姿は

テレサを抱きしめているようにも思えた



今になれば夢のような日々

ネックレスを自分の額に当てる。

やはりネックレスは

テレサそのものな感じだ。

すごく愛おしそうで、

失った悲しみに満ちている



別れ決めたこの期にも

前かがみのまま、体を起こし

ドアのほうを向きながら歌う。


テレサを追い求めている感じが

両手に抱くネックレスの持ち方からも

ひしひしと感じられる



明日になれば

ネックレスを右手に収め、

左手は天に上げながら

膝立ちになって顔をあげる


明日…

これからのことを考えねば…

という気持ちになったのか!?



引っ越しをするなら

右手にネックレスを握ったまま、

両手を前に差し出すのは

「行先を教えてくれ」と

テレサに語り掛けているようだ



今は角が立つことも

まっすぐ正面を向いて

説得力抜群な歌い方!



後で話せる

ようやく立ち上がった。


テレサがいなくなったことを

現実として受け入れ、

一人で生きていくことを

よろめきながらも

覚悟した感じがある




2分ほどの歌のなかにドラマがある。

仰向けで歌うのから始まって

体を二つ折り、膝立ちと

到底、歌う姿勢として

万全とは思えない姿勢から

圧倒的な歌唱力、説得力で

歌い上げる。

見事な、

とても見応えあるシーンでした。




歌が終わるとアウトロが流れる中、

さっと暗転して上手に素早く走り去る。

30秒後には麻のスーツ姿になって

セットの2階に板付きで登場です。


初日に五本指靴下なのを見たときは

なんで?と思ったけど。

早着替えのための猛ダッシュや

何度もある乱闘シーンに

踏ん張りが効いて姿勢保持にもいい、

五本指使用に納得しました。

その後ライブツアーでも履いてたのには

ちょっとびっくりだったけどね(笑)

履き心地の良さにやみつきになった?



あと、この歌の時は

ランニングシャツとトランクスで

一人で舞台にいるので

ずっとヤスを見ていることになる。

そうすると……

日に日に痩せていくのが分かりました。

肩幅だけは変わらない、

でも肉付きが。。。

徐々にやせ細っていく。。。


それでも歌のパワーは変わらなくて。

それどころか

だんだん解釈が深くなって

コージその人になってる感じで。

どの回も安定した歌声のパフォーマンス…



痩せた体に歌のパワー、

あまりのアンバランスさに

”ヤスはこのまま死んじゃうのでは!?”

何度もそう思いました。

それくらいすさまじいパワーだった

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俺節 第二部【書き起こし④】 [∞舞台]


俺節 第二部 書き起こし④



デビュー目指し、

戌亥の元でレッスンに励むコージ。

はい、先生。

分かりました、先生。

ナホ先生の言うことを吸収しようと

コージは一生懸命だった



そこに戌亥が寺泊行代を連れて

やって来た。

あぁ、コンテストの時に…

戌亥:そう、仲良くな。

あの…

コンビってどういうことだべか?



戌亥はコージとコンビを組ませて

デビューさせるつもりなのだ



デュエット?

したばってん…

だども、

だったらべつにオキナワでも…



おら、故郷(くに)の言葉も

この背広も恥ずかしいとか

おかしいとか思ってねぇべ。

  


だが、

コージが何と言おうと

行代とコンビでのデビューは

決まっているのだった





コージと別れたオキナワは

裏稼業に戻るも追い出され、

最後は

北野波平に引き取られ、

北野家で幽閉されていた





ある夜、レッスンを終え

コージがアパートに帰ると

部屋は真っ暗だった。

暗い部屋の真ん中に

テレサはポツンと座っていた



いたの?

なんで電気、つけねえの?

いいよ、暗いままに

なんかあった?

なんで?

暗い顔してるから

見えてないでしょ!?

声で分かるよ

コージも疲れた?

いや

ねえ、コージ

ん?

なんで抱かない?

なにを?

私を。なんで?

おかしいべ、

オキナワがいるのに

もういないよ。なんで?



コージが何も答えないでいると

テレサは立ち上がって

飲み物を取り出し、飲もうとした。

その時、意を決したコージは

テレサを突然抱きしめた



コージ、あっ、待って。

待って、こぼれちゃうから

そう言いながらも

二人は布団に倒れ込んだ



そして、コージは

テレサの胸に顔をうずめるが

テレサを買った男のことが思い出され

テレサから体を離してしまった



コージ?

ああ、なんでもねえ

そう言われても

テレサにはお見通しだった

Oh…私…汚い?

へ?

売春婦の体は汚くていや?

ずっとそれで抱かなかった?

はぁぁ、黙っちゃった

嫌なんてことは絶対にねえ。

それは本当にねえ

でも起たない



そう言われては

コージは何も言えなかった

いいんだよ、いいんだよ。

コージはデリケート。

だから頭ん中に浮かぶよね、

私がどんな仕事をしてきたか

情けねえ。

こんなに自分のチンポ、

情けねえって

思ったことはねえよ、おらは。

だってすっげえ抱きてえんだ、

おめえを。

このやろー、言うこと聞け



自分で自分を痛めつけ言う

抱けっから。

え?

チンポが無くても抱けっから。

おら、おめえのこと、

なんもかんも抱くから。

今だけじゃねえ、

過去も未来も全部抱くから。

抱けっから!

コージ…







このシーン、嬉しかったなぁ。

ヤスにはラブシーンのある役は

来ないと思い込んでいたので。

これで役の幅が広がった気がして

嬉しかった。



テレサが布団に倒れ込むところは

初日から大千穐楽までの間で

ずいぶんと解釈が変わったように思う。

最初の頃は「初々しい二人」だったが

テレサは百戦錬磨な仕事なのに対して、

コージは

青森から上京してきたばかり青年。

人生経験が違いすぎるのに

同じように「初々しい」ではおかしい。



だからか、

「コンテストに出なさい」

と言うのと同様に、

ここでもテレサはお姉さんだった

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